アイツの溺愛には敵わない


そうだ、その前に……。


「あ、あの…突然なんだけど、綾芽ちゃんにちょっと相談があって」


「それなら中で話そうか?今、休憩室が空いてると思うし」


「ううん、手短に終わらせるからここで大丈夫」


首を横に振りながら答えると、綾芽ちゃんは辺りを見回してから私の手を引いて歩きだす。


やって来たのはヘアサロンの裏手。


スタッフ用の出入口の前だった。


「お店の前だと人通りも多くて賑やかでしょ?ここなら誰も来ないし静かだから」


気遣ってくれる優しい綾芽ちゃんにお礼を言った後、私は話を切り出した。


「実は、来月の颯己の誕生日に手作りの料理でお祝いしようと思っていて……」


「うんうん」


「更にサプライズでプレゼントを渡そうと思って本人に内緒で準備しているんだけど、その計画を颯己に見抜かれてる気がするの」


「あぁ、なんとなく分かる。真浦くんって勘が鋭そうだもんね」


「私の表情や仕草から気持ちを読み取ったりすることもあるんだ。上手く隠してるつもりだけど颯己には通用しないのかも」


人差し指で頬を掻きながら苦笑いする私に、綾芽ちゃんは微笑ましそうにクスッと笑った。