アイツの溺愛には敵わない


「でも、無理はしないでね。嫌なら遠慮せずに言って?」


小さく頷くと、背中に回されていた颯己の手が私の肩に移動する。


密着していた体が少しだけ離されて、二人で見つめ合ったのも束の間。


お互いの唇がゆっくりと重なった。


いつものような優しいキスだと思えたのは、ほんのわずかなひととき。


すぐに角度を変えながら啄むような口づけへと変わっていく。


今までになかったパターンに驚いていると、不意に颯己の片手が私の後頭部に回った。


「はーちゃん、少しだけ口を開けて?」


突然の言葉によく意味が分からないながらも反射的に実行に移す。


すると、瞬く間に唇を奪われて舌を絡めとられた。


「んんっ……」


自然に漏れる声に顔が熱くなる。


初めての感覚に意識が溶けそうになったところで颯己の唇が離れた。


「大丈夫?」


その優しい声に、ボンヤリしていた頭が覚醒する。


気づけば、颯己の服をギュッと力強く握りしめていた。