それ以降は、何か空気が変わったわけでもなく、いつも通りの颯己がいて。
他愛ない会話をして、前々から見たかった映画のDVDを二人で鑑賞して、その後はそれぞれで入浴。
いつもより少しだけ長いおやすみのキスを交わして、各自の部屋に入った。
一緒に寝る?とか聞かれるかもしれないって思ってたけど特に何もなかったな。
……あれ?
私、物足りなさを感じてるの?
いや、きっと颯己に“全然足りない”とか言われたから警戒しただけだよ。
心の中で頷きながらベッドに潜り込む。
目を閉じた私の脳裏に、その後の光景が浮かんだ。
“不安そうな顔をしないで”
そう言えば、あの時の颯己…少し困ったように笑っていたっけ。
いきなり抱きしめられた上に、ビックリするような発言の連続だったから戸惑いはあったけど…
正直、不安な気持ちは無かった。
未知の狼モードに対して、緊張のあまり身構えていたはずなのに。
颯己なら大丈夫だっていう安心感が芽生えてた。
もしかしたら私も…。
颯己にもっと触れたいって思い始めてるのかな。
私は熱くなった顔を枕に押し付けた。

