アイツの溺愛には敵わない


「じゃあ、行ってくるね」


「二人とも行ってらっしゃい」


満面の笑顔のお母さんに見送られて、私たちは家を出た。


「はーちゃんと一緒に学校に行くの久しぶりだね」


「う、うん」


約一年ぶりぐらいかな。


颯己の捻挫が治った後ぐらいから、二人で登校するのを避けてたんだよね、私。


まさか、再び颯己の隣を歩ける日がくるなんて思ってもみなかった。


しかも今度は“彼女”として……。


「なんだか少し浮かない顔してるね」


「えっ」


「やっぱり不安?また前みたいな出来事が起きたらどうしようって思ってる?」


「正直、不安が全くないって言ったら嘘になる。だからといってコソコソ隠れて付き合うのもね。思った以上に噂も広まってるみたいだし」


昨日、綾芽ちゃんから“真浦くんと付き合い始めたの!?”ってメッセージが来た時は驚いたな。


どうやら、金曜日の放課後に私たちが手を繋いで歩く姿を目撃した女の子たちの誰かが写真を撮っていたようで。


その画像がSNSに投稿されてしまった影響で、色んな人の耳に情報が入っているらしい。