アイツの溺愛には敵わない


その後、朝食を済ませた私は手早く身支度をして玄関へ。


颯己と一緒に靴を履いていると、お母さんがキッチンから慌てた様子で駆け寄ってきた。


「映結、お弁当忘れてる!」


「本当だ、ありがとう」


ご飯を食べている時、颯己にはお弁当を忘れないようにねって話をしておきながら、自分が忘れるとか恥ずかしい……。


いつもの登校日とは朝のルーティンが変わってペースが乱れたからかもしれないな。


颯己を起こすタイミングとか、朝食を一緒に食べたりとか。


まあ、そのうち慣れるよね。


受け取ったお弁当を急いでスクバに放り込むと、お母さんは私たちを見ながら微笑ましそうにクスッと笑った。


「二人で仲良く登校かぁ。青春って感じでいいわね~」


「何言ってるのよ、全く」


「颯己くん、映結のことよろしくね」


「はい、もちろんです」


お母さんってば、その言葉…昨日も一昨日も言ってたじゃん。


何回も言わなくていいのに。


語尾に音符がついているかのような弾んだ声で喋るお母さんに苦笑いしてしまった。