アイツの溺愛には敵わない


「ここ、外れてるよ?」


「えっ」


指を指している部分に視線を落とすと、パジャマの上から二つ目のボタンだけ外れていて。


心の中で悲鳴をあげながら素早く留めると、颯己はフッと笑った。


「俺のベッドの上にパジャマ姿のはーちゃんがいるの、なんかいいね」


「どこがいいのよ」


「学校サボって一緒に寝ていたい」


「サボりはダメ。ほら、さっさと起きて」


「はーい」


颯己は頷くと、サッと体を起こして腕を天井に向かって伸ばす。


朝はいつも動作がスローなのに。


同一人物かと疑いたくなるほど素早かったな、今の起き方。


「はーちゃんの声で起こしてもらうと、今日も一日頑張ろうっていう気持ちになれるんだ。いつもありがとう」


「うん」


もしかして颯己……。


いや、それはさすがに考えすぎか。


「じゃあ、私も着替えてくるね」


「了解」


微笑む颯己に見つめられながら、私は自分の部屋に戻った。