アイツの溺愛には敵わない


「だって、ようやくはーちゃんと付き合えることになったから。抱きしめるだけじゃ嬉しさを抑えられなかったんだよ」


そっか。


颯己は出会った頃からずっと私のこと想ってくれていたんだよね…。


「怒らないの?」


「うん。もし颯己と同じ立場だったら、私も想いが通じ合えたことが嬉しくてたまらないだろうから。きょ、今日だけは特別」


私の言葉が予想外だったのか、颯己は少し驚いた顔で瞬きを繰り返した。


「でも、次からは人前でのキスはやめてね。私の心臓がもたない」


「善処するね」


本当かな…。


そんなキラキラした笑顔を見せられると、逆に心配になるんだけど。


「はーちゃん、手…繋ぎたい」


「私の話、聞いてた?」


「今のはキスについてでしょ?手のことは何も言ってないじゃん」


「そうだけど……」


「俺らが手を繋いで歩いたって誰も気にしないよ」


た、確かに。


そんなに目立つことじゃないもんね。


手を繋いでいる人たち、周りを見てみると意外といるし。


スッと差し出された颯己の手。


私はドキドキしながら、その手を握った。