アイツの溺愛には敵わない


翌朝。


私は颯己を起こさずに学校へやって来た。


朝一でアイツの寝顔を直視したら、昨日みたいに真っ赤になってしまいそうな気がしたからだ。


起こす作業はお母さんに頼んできたから、遅刻はしないだろう。


それにしても…


あんな何気ない動作をするにも支障が出るなんて。


参ったな……。


頬杖をついてボンヤリしていると高塚くんが教室に入って来た。


「琴宮さん、おはよう!昨日は助けてくれてありがとね」


「こちらこそ、チョコレートありがとう。とっても美味しかった」


「でしょ?」


ニコリと無邪気に笑う高塚くんに頷く。


颯己にとられる前に1個食べておいて本当に良かった。


「今度、その洋菓子店に行ってみようかな」


「うん、是非行ってみて!チョコの他にもケーキとかクッキーとかオススメだよ」


クッキーか……。


その言葉を聞いただけで、真っ先に颯己を連想してしまうあたり、かなり異常事態だな。


考えないように意識しないと。