「こずってば…」
「笑真ちゃんはやっぱりショートの方が似合ってる!昔に戻ったみたい」
そうなのだ。
駿くんと別れてから私は髪をバッサリと切った。少し明るめの茶色にして
結婚はなくなりました。と上司に報告したらびっくりされて、パートさん同士にはあらぬ噂を沢山掻き立てられたけれど
その愚痴は国際電話で奏が聞いてくれた。
そして今日――1年ぶりに奏が日本へ帰宅する。
ショッピングモールから出て空を見ると、明らかに怪しい雲行きだった。雲が分厚く重なって、今にも雨が降りそう。
けれど相変わらず傘は持たない。きっと奏が持っているであろう。いや持っていなかったとしても雨に降られても奏と一緒ならば笑える。だからいつ降ったって平気なんだ。
待ち合わせ場所へと駆け出していく。



