「それは全然大丈夫。5月の後半はゴールデンウィークで全然休みなかったからね。
後半に休みいっぱいいれておいたから気にしなくっていいよ。
あ、段差あるから気をつけてね」

駿くんに肩を貸して、久しぶりに二人でマンションに戻って来た。何か変な感じではある。

今日の為に部屋はきちんと掃除しておいた。 マンションに着くと、駿くんをソファーに座らせてリビングの窓を開ける。

春の柔らかな風が通り抜けて行った。 最近はずっと快晴だ。今日も空を見上げたら雲一つない青空が広がっていた。

「いま、珈琲淹れるね?」

「ああ、何か何から何まで悪いな…」

「いいから、駿くんは座ってて。」

入院生活が始まってこのマンションに戻ってきて、恐る恐る自分の部屋に行って見たら、綺麗に片付けられていた。

クローゼットの奥に入れておいた’えまの宝物’…奏との思い出いっぱいの箱は中身が綺麗に収納されていて、元の位置へ戻っていた。

それを見た瞬間胸が痛くなった。どんな気持ちで駿くんはこれを片付けたのだろう。