02 あなたじゃない人の顔。




夜中まで続いた雨が嘘のように上がって晴れ渡った翌日。
からりと乾いた空気。太陽がリビングの窓から差し込んで、とても爽やかな朝だった。

どんな時間に寝ようと、どんなに寝不足だろうと必ず6時半に起きる。駿くんと付き合い始めてから、ずっと。

同棲を始める前から駿くんの家にお泊りする時は必ず早起きする。それは休日でも、だ。彼は平日も休日も変わらない時間に起きるきちんとした人だったから。

そんな私を、駿くんは’きちんとしてる’と言う。その言葉にはいつも曖昧に笑ってしまう。 本来の私はきちんとしている人間ではないからだろう。


朝は和食派。一人暮らしをしている時はシリアルや適当にパンを1枚かじって終わる朝ご飯だったが、駿くんと朝を迎える日は必ず作るようにしていた。特に料理が好きでもなく、得意ではなかったが。

「うん。今日も美味しい」

朝から爽やかな笑顔を見せる私の恋人。

毎日のようにご飯を作るのは、時々しんどい。けれど駿くんはそれを当たり前だという態度には出さずに、いつも’美味しい’とか’ありがとう’って言ってくれる。

だから余り好きではない料理を作るのも嬉しくなる。中々毎日感謝を当たり前に伝えられる人もいないと思う。