「駿くん、私……奏と会ってた。結構前に偶然再会して……
ごめん。自分勝手だと思うけど、私やっぱり奏の事が…」

そこまで言いかけて、駿くんの笑顔が段々と歪んでいく。握っていた手を思いっきり振りほどいた。 

そしてクローゼットを乱暴に開けたかと思えば、奥に手を伸ばして
彼はオレンジ色の箱を取り出した。

「それ…」

「俺が気づいていないとでも思った?
こんな物いつまでも隠し持ってて」

その場に箱を叩きつけると、大きな音を立てて中身が散らばって行く。
えまの宝物。そう汚い字で書かれた…どうしても捨てきれなかった物たち。
床に手をついて、散らばった物を拾い集めようとした時…駿くんの手が私の首にかかる。

「んっ……」

息が出来ない。 このまま意識まで遠のいていってしまいそうな程強い力。

その大きな手で私の首を絞める駿くんはもう笑っていなかった。 ただただ無表情のまま、私を見下ろしていた。

「結局お前も奏なんだな…あの女と一緒だ…」

「駿く…止めて……」

「どうして俺を捨てる…?どうして俺じゃなかった?」