時間の事をすっかりと忘れていた。
思い出して慌ててベッドから起き上がると、私のお腹に奏はぎゅーっと抱き着いて来た。
そして背中へとキスを何度も送る。

「んな慌てるなって、まだ朝の8時だ」

「8時ぃ?!私そんなに眠ってたの?
し、仕事。仕事に行かなきゃ」

慌てて枕もとの携帯を手に取って、気が付いた。
今日は休みだ。時々曜日感覚が狂う。土日の休みに関係ない仕事だから。]

けれど今日は平日ど真ん中。呑気に私を抱きしめる隣の男は当たり前に仕事だと思うのだが…?何を呑気に…。

「私今日仕事は休みだった。奏は?平日だから仕事があるでしょう?」

「今日はデスクワークだから、家で大丈夫。
それよりもお腹空かない?何か食いに行く?それとも作る?」

本当にデスクワークで大丈夫なの?それって今日勝手に決めた自分の都合じゃないの?
横になったまま私を抱きしめる奏を見下ろすと、にこりと笑顔を作る。

「そういえば昨日の夜から何も食べてない…!」