「私も、駿(シュン)くん。」


愛していると言う言葉の意味を深く考える夜がある。特にこんなに月が綺麗な夜は。

セックスが愛情表現のひとつであるのだとすれば、目の前にいる彼は私は宝物を扱うように私を大切抱く。

愛されていると思う。 そしてその気持ちと同じ重さで彼を愛したいとも願う。


腕枕をされると彼の匂いと汗の匂いが混じり合って、途端に居心地の良い微睡みに襲われる。このまま、現実なんて見えなくなってしまえばいいのに

ただただ横に居る私に愛をくれる只一人の人を真っ直ぐに愛せたらどれだけ良かったのだろうか。

「このマンションに決めて良かったね」

「うん。広くてとっても綺麗でお気に入り。
それに月が近く見える気がする。高層マンションだからかなぁ?」

そう言って窓際のカーテンをさっと引くと、闇の中に切り取られたような満月が空にぽっかりと浮かんでいる。

それを見た彼はまた目を細めながら「本当だ」と優しく微笑んだ。ぎゅっと強く彼が私を抱き寄せ、耳に掛かる髪に何度もキスを落とす。