「うんうん。でもクイーンズWも出来たばかりの式場だけど評判が良いって噂だよ」

「きっとどっちも見学したら素敵で迷っちゃうんだろうけど」

「ゆっくりと考えて気に入った方に決めればいいよ。」

「私優柔不断だからなぁ~…」

きっと結局私が式場を決めれる事はないんだろう。
それは予感。

何となく駿くんが気に入る場所で式を挙げる気がする。この3年間、どんな時でも決断を迫られると駿くんの意見に従ってきた気がする。

そして私はそれが最善だと思っていた。自分の希望はどこかで押し殺して。

だって正しい彼がする選択を、間違いだとは思えないから。それを選び続けていれば私は幸せになれるのだと思っていた。

けれど、今日聞いたこずの話が引っかかる。

目の前でにこにこと笑う、いつだって笑みの絶やさない人。ここに来て、彼の事が全く分からない。

私が見ていた駿くんは、もしかしてただの上辺だけなのかもしれない。だって私は駿くんの本当の想いを知らない。

何でも正しい物を選べるあなたが、私を選んだあの時から。

長年付き合ってきた彼女がいながらも、私を好きだったなんて信じられない。駿くんが自分の想いを隠して、別の人と付き合うような選択をする人には私にはどうしても思えなかったからだ。

でもそれを聞くべきではないと頭のどこかで警告音がする。 それでも知りたくてたまらなかった。

ねぇ、あなたはいつから私を好きになってくれたの?どうして私を好きになってくれた?

弟の付き合っていた女と付き合うのは、正しいあなたの美学に反するものではなかったのか、と。