「ライブチケットなんて口実だった。笑真に会いたかっただけだった…。」

「今更何それ…」

「ずっと忘れられなかった」

今更過ぎる。もう7年という時が経ってしまった。 それに何を勝手な事ばかり言っているの?
私を置いて、何も言わずに消えたのはあなただったのに。

「ちょっと止めてよ。離して…。今更何なのよ、勝手に私の前から居なくなったのは奏じゃない…!」

「ずっと後悔していた。どうしてあの時ああする事しか出来なかったかって、もっと違う選択を選ぶことも出来たはずなのに…。
でも好きな気持ちが変わった訳じゃないんだ…」

抱きしめる力は強くなる一方だ。
頬を打つ冷たい雨とは別に、頬に温かい物が流れる。それは涙だった。

私の気持ちは暫く変わらなかった。奏が私を置いてどこかに行ってしまうなんて、信じられなかった。

私達は離れたくても離れられない、ソウルメイトではなかったの? そう考えて、時間は悪戯に流れて行った。

夜寝る前に願う事はあなたにもう一度会う事で、朝目覚めた時その願いは絶望に変わっていった。

そんな毎日を繰り返していく中で、奏をずっと忘れられないまま4年の月日は流れた。 彼は結局一度たりとも私の前へ姿を現さなかった。