これは私の想像の範囲内でしかないんだけど、駿くんの父親は3兄弟の経営する会社のひとつを、奏に継いでもらいたかったのではないだろうか。そして兄弟仲良く高瀬コーポレーションの未来を盛り上げていってほしかったのではないだろうか。
奏は昔から’父親の会社で働こうとは思ってない’と口では言っていたが、駿くんと共に仕事がしたかったんではないだろうか。そして、駿くんの気持ちも…。
時々切ない横顔を見せていた奏。
私達の通う高校はそこまで頭の良い進学校ではなかったが、奏と同中の子に聞いた事がある。
奏はもっと上の高校に行けた事。そして高校での成績はいつもトップクラスであった事。
本当は大学に進学をするつもりがなかったが、父親の強い勧めで進学をした事。 それも大分レベルを落とした大学にした。
やれば出来るのに、どこかで手を抜いている節があった。
そして高校を卒業して奏は大学に、私は短大へ進学をした。 それから同棲生活が始まった。そのお金を出してくれたのも、彼の父親だったと思う。
『奏はいっつも閉じてるよね』
一緒に暮らし始めた1LDKのマンション。特別新しいマンションではなくって、いつもごちゃごちゃと物が溢れていた部屋はお世辞にも綺麗とは言いずらかった。
互いに色々な趣味があって、物が多かった。
余り細かい事は気にならない互いの性格はぴったりと合っていたとは思う。
寝室にはふたつ布団を敷いていたが、私達は必ずひとつの布団にぴったりとくっついてどんな日にでも体を寄せ合って眠るのが習慣だった。



