「そんな昔の事よく覚えているなぁ」

「奏だって私の好きな食べ物覚えてたじゃん」

「ふっ、お前1回大学生の時調子こいて飲みまくって、会計の時マーライオンみたいに吐き出した事あるよな。
あの時食べた焼きそばがそのまま固形でぶわーって出て、皆ドン引きだった。」

「う、うるさい!大学生がお酒の席で失敗してしまう事はよくあるの。
それに今はそんなに飲まないもん…」

あの頃は楽しくて、大学生になった途端自由になったみたいで羽目を外してしまって調子に乗っていた。

あの時も嫌な顔ひとつせずに介抱してくれたのは、奏だった。

「何もお腹にいれないでお酒を飲むのは体にも良くないんだよ。すぐに酔っぱらっちゃうし」

「大丈夫。俺酒は強い方だから」

一時期奏はお酒の量がやたら増えた事があった。
それは大学生になって、同棲を始めたばかりの頃だったか。

サークルの飲み会や、家でも缶酎ハイや缶ビールを飲んでいて、心配していた時期もある。

でも今はお互いに大人だ。そういった無茶な飲み方はしないだろう。お酒を飲む時に食べ物を食べないのは相変わらずみたいだが。