「虎徹が書いている時、見ていていい?あなたの書き方はとても参考になる」

そう微笑まれ、虎徹の頬は赤く染まる。虎徹はずっとこの女の子に恋をしているのだ。

彼女の名前はフランソワーズ・ローズテップ。世界で二番目に小さな国であるモナコ出身だ。美しいその容姿から多くの生徒の視線を集めている。

虎徹とフランソワーズはクラスは違う。部活でしか関わりがないと誰もが思うだろう。しかし、虎徹とフランソワーズには誰にも言っていない二人だけの秘密の時間を共有している仲なのだ。

「今日も楽しみにしてる」

ボソリと虎徹が言うと、フランソワーズの優しい笑みは一瞬にして挑発的なものに変わる。しかし、そんな笑みですら虎徹は胸を高鳴らせてしまうのだ。

「私も楽しみよ。いつも金曜日が待ち遠しいの」

二人は早くその秘密の時間を迎えるため、作品制作を集中し始めた。



書道部は、作品が完成すれば帰っていいという自由な部活だ。虎徹とフランソワーズはほぼ同時に作品を完成させ、かばんを手にする。

「さようなら」