「今日一緒にいた男の人、誰」


彼もまた依存してくれているのであろうか。
彼は私のスマホにGPS、服の内ポケットや胸ポケットなどに盗聴器を入れている。

彼の言い分は【私が狙われるから】だそうだ。
まぁ、理解はもちろんできるわけが無い。


「浮気相手って言ったらどうするの」

「許さないよ、もちろん。
仕事を辞めさせて、この部屋に括りつけたいくらい」

「ふぅん。残念ながら同僚だよ」

「...就職の時、男少ないところにしてって言ったよね」


彼と私は大学からの仲だ。
何だかんだ、6年近く続いている。

でも結婚するつもりは、私はない。


「言ってたっけ」

「言った。ねぇ、怒るよ?」

「ふふ、覚えてるよ。
少ないとはいえ、完全に居ないところはないんだよ」

「辞めて、今すぐその職場。
...というか、もう働かなくて良くない?」


彼は医者で、やはり私と比べれば給料はとても良い。
だから正直、私が働くまでもないと言ってしまえばそうである。


「家にいろって言うの?」

「そうした方が安心だよ」

「無理、今の仕事気に入ってるから」


私はデザイン関係の仕事をしている。
...【インテリアデザイナー】とやらだ。

割と忙しい時は忙しいが、今はあまりだ。

たまにこうやって遅く帰ってくるのは、職場で仮眠をとるから。

そうした方が、不安になって、依存してくれそうだし。