「やだやだやだ、すき、だいすき!!」


ギュッてして、おねがい、と可愛い声でねだる。
...これじゃどっちが女か分からない。


「でも嫌いなんでしょ」

「嘘、めっちゃ愛してるもん。
ちゃんと帰ってきてくれるところとか、一緒に寝てくれるところとか」

「...信じられないから、ちゅーして」


そう頼む。
甘えるのが苦手な私の、精一杯の努力だ。


「っ、ぁ...目、閉じて?」


そして彼はキスが苦手だ。
でも、私はキスが好きだ。


「...っあぁぁあ...無理、無理ぃ!!」


恥ずかしい、とぎゅっと抱きつく。
頭を撫でて、私は笑った。


「キスくらいできるようにならないと、お婿には行けないよ」

「いじわる...楓のお婿になるからいいもん」

「ふふ、なれるかな」


そんな意地悪を言いながら頭をこねこねと撫でる。
ぷくっと頬を膨らませつつ、満更でもないという顔だった。