ここ何年かを思い浮かべたら、自分から触れるのは久しぶりかもしれない。


少し肩に触れるとか腕をつかむということはあっても、それは必要なときであって、ほんの一瞬の出来事。



周りが男女を意識しだす少し前から僕は彼女のことを意識していて、中学に上がる頃には無意識には触れられなくなった。





「しょうちゃん、私嬉しい。しょうちゃんが好きって言ってくれて」


少し緩んだ僕の腕から彼女が抜け出して僕の目を見つめた。





「私、しょうちゃんのこと守る」



すごいこと言ってるな。

あまりにも真面目な顔で言うから思わず笑った。




「大丈夫、なにも怖くなくなった」


浮かれているだけなのかもしれないけれど、僕はいま誰に何を言われようと、かわせる自信しかない。