お父さんがあまりにも私に対して申し訳なさそうにするから、私は悲しいと言えなかった。 いつもと変わらない態度でいつもと変わらない日常を過ごすように、神経を張り巡らした。 幸いといっていいのか、お母さんがいなくなったからといって困ることはあまりなかった。 元々お父さんも家事や料理は出来たし、小学校高学年になった頃から私も色々教わっていた。 今考えると急に色々教えたのは、元々出ていくつもりもあったのではと思う。 悲しみを消すのには、まだ少し慣れない家事をやるのはむしろ好都合だった。