「……!」
赤、赤、赤。
跳ねて、私の目を突き刺すような線が、いくつも、いくつも、数え切れないほどにある。
「お疲れ様〜!じゃあ、大体の学力測れたから、これから計画説明してくね」
え、これで?と不思議になる。
だって……解答用紙の半分、いや、3分の2以上はペケばっかりなんだもん。
そう、今さっき、勉強を教えてもらうにあたっての学力テストのようなものを行ったのだ。
もう、さっぱりだった。
間違いだらけなのににこやかな表情を崩すことなく分析できるなんて、余程肝が据わっているのだろう。
英語も国語も理科も数学も、ダメダメ。
更に自分の存在意義が無くなっていくばっかりだ。
「取り敢えず、全教科中学校レベルから始めてみよっか」
……ああ〜……。
元々無かったやる気が更に削がれ、お飾りの人形になった気分だ。
「大丈夫だよ!きっと基礎さえできれば、すぐに皆に追いつけるよ!」
私が変な表情をしていたのか、流旗さんはそう言って、またニコッと笑う。
……なんて笑顔が似合う人なんだろう。
こんな太陽みたいな人がいれば、皆明るくなれるだろう。
千稲ちゃんと同類の人だ。
「きっと、突然5教科もテストしたから、疲れてるよね」
「まあ……」
語尾を濁らせ、曖昧に返事をした。
「だから、今日は、この後天藍ちゃんと少しお話してから帰ろうと思うんだけど、いいかな?」
本心は100%NOだが、断り方が分からないというのと、失礼にあたるのかも、という不安が返事を揺らす。
太陽がとろりと溶けて空を紅く染めているのに流旗さんは気付いていないのか。
白い病室が、こんなにも紅で塗りつぶされているのに。
「……」
答えられずに、ひたすら思考を巡らせ膝の上に置いた手を見つめていた。
じっとりと手を置いたところの服が膝に貼り付いていくのが分かった。
「あ、ごめん。いきなり言われても困るよね。じゃ、また来るから、遥斗によろしく」
焦ったように笑って病室を出ていこうとする流旗さんの背中に声を浴びせた。



