誰しも、自分の意地の悪さは見せたくないだろう、嫌われるのが怖いから。
嫌われると人が離れていく、私のように。
だが、それを上手く利用すれば、醜い部分を見せる人間を制限せずに済む。
嫌われていても、強ければその権力に抗えず、人は強い磁石に引きつけられるようにその人の周りにつかざるを得ない。
頑なに拒めば自分がターゲットになることなど、容易に想像できるからだ。
ただ、これには大きなデメリットがあり、それは、とてもリスキーだということだ。
これに失敗すれば、我の強い、我儘な嫌われ者として孤立する。
その点、限られた人間にのみに醜さを見せるのは孤立するリスクは低い。
だから、人はそちらを選ぶのだ。
前者を選ぶ者は殆どいないだろう。
だから、高田さんは相当な度胸の持ち主、そして成功者といえよう。
だが……今までの高田さんを見て、そこまで考えているのか、と思う。
どちらかというと……本当にイジメをしたい訳ではなく、ただただ感情のぶつけるだけのようにも思えるのだ。
結果それがイジメとなっているだけで。
もしそうなら……彼女の心の中心に何かが居座っていて、それを私が無神経に刺激しているのかもしれない。
そうだと仮定すると、最善の選択は、その居座っている奴をを引っ張り出して、無くすこと。
だから……。
「何それ、意味分かんない。橘くん、説明してよ」
シンプルに焦った。
まさか、ここで大根役者が炸裂するとは。
意外に勘のいい高田さんなら気づいてしまうか、と思ったが優越感に陶酔し、恍惚としている様子だったので全然大丈夫だった。
橘くんは、無表情だが、瞳が不安そうに問いかけていた。
そんなの似合わないわよ、大丈夫だから。
そんなメッセージを込めて私も、似合わないウインクをした。
橘くんは俯いた。
「あぁー、残念。BlackPrinceは話せないってさ。どう?裏切られた気分は?カワイソー。可哀相すぎるから、私が話してあげよっか。WhiteQueen様?」
「別に貴女の口から聞きたくないわ」
「本当は聞きたいんでしょ。素直じゃないわねぇ。それとも、あんたのナイトが取られたからかしら?惨めねぇ」
「いい加減にしないと、その口塞ぐわよ」
「できるものならやってみなさいよ。あんたが何と言おうと話してやる。それが、あんたの望んだことだものね。WhiteQueenが滑落していく様を、確と見届けてあげるわ。ま、せいぜい足掻くことね」
――かかった。



