交錯白黒


私は反射的に橘くんを睨んだ。

「……橘くん、どういうこと?」

何故、彼女がクローンのことを知っている
のだ。

そして、私がそれを既知だということも。

「それは、私の台詞なのよ。驚いたわ、あれだけ口止めしておいて、美人にはすぐバラすのね」

「……貴女、私より前に知っていたの?」

「ええ、そうよ」

じわじわと灼けるような感情が私の心を蝕んでいく。

何故、よりにもよって彼女なのだろうか。

彼を一番知っているのは私なのに。

彼の秘密も、葛藤も、性格も、私のほうが知っているのに。

この学校にいる誰よりはやく、彼と出会い言葉を交わして、悩みを分かち合ったのは私なのに。

そうやって抗議したくて、でも声が喉に張り付いてキリキリと痛む。

私、こんなに嫉妬深かったの……?

「清々しいわ。あんたの、こんなに嫉妬で一杯の目を見れるなんて。ざまぁみろ、だわ」

「高田、約束が違う」

「あら、先に破ったのはそっちじゃない」

高田さんの目は爛々とし、頬が紅潮している。

優越感に酔っている人間の目だ。

「それに琥珀、最近この子に優しくしてるみたいじゃない?勇気あるわね〜、クラス、敵に回してるわよ」

どろどろと蕩け、濁りが窺える。

「でも、ごめんなさいね。あんたの想い人は既に、私のもの、なのよ」

私はありったけの空気を吸い、思いっきり吐いた。

今は、自分の気持ちは我慢よ。

冷静になって、彼女の意図、考え、心情を読み取って、正確な対応をするの。

今までのように、自分の気持ちのままに発言すれば、後悔が訪れる。

それが私なのだから、感情は二の次だ。

やはり、悪意をここまで解放する人間はかなり珍しい。

本気でイジメたいのなら、もっと少数精鋭で、隠れてコソコソ行うはずであろう。

何故なら、無関係の他人には自分の汚いところを見せたく無いから、その部分を見せてもいい人、見せたい人に人数を限るからだ。