交錯白黒


彼女の服装もまた、浴衣であった。

赤い布地に、皮肉にも白い百合が咲き、黒い帯で締めていた。

いつもストレートの黒髪は団子状に纏められ、ワンポイントにこれまた赤と黒の髪飾りがされている。

だがやはり、橘くんたちと比べると、その黒髪の質は落ちる。

そんなことを考えているうちに、彼女の全身を舐め回すように見る形になってしまったようだ。

滾るような激情が、彼女の瞳から燃え上がり整った顔はそれに歪んでいた。

「お洒落な浴衣ね。可愛らしい貴女の顔立ちと体形によく似合ってるわ」

思わず本心を言った。

くりくりしたアーモンド形の目や両手ですっぽり覆えそうな小顔。

浴衣に合わせてきたのか、真っ赤な口紅が大人っぽさを倍増させていた。

初めて、彼女を褒めたのかもしれない。

高田さんは一瞬驚いたように目を開くと、先程よりも強く熱い怒りを込めてこちらを睨んできた。

彼女は高身長なので、睨み下ろす形になっていた。

「ふざけてるの!?」

「本心よ。見た目は可愛らしいのに勿体無い、と思ったから」

パン!

乾いた音と、大地を揺るがすような轟音がほぼ同時にあたりに響いた。

多彩な閃光が藍色を塗り替える。

頬がヒリヒリとするような違和感を覚えてそっと片手で覆った。

「……いつもいつもそうやって」

絞り出したような声。

高田さんの目には涙が溜まっていて、赤い唇から出入りする呼吸は荒く、肩まで上下していた。

「上から目線で!人を馬鹿にして!空気読めなくて!怒り狂った私を全て悪くして!人を傷つけて!!その癖涼しい顔して女王の座に居座って!!」

ドォン、ドォンという火の光の中、彼女は涙を流しながら、私の背後の木を殴りつけながら、叫んだ。

彼女が押さえつけていた獣が暴れだしたかのようで、私は吃驚して固まる。

「……私が欲しいもの、取らなきゃいけないもの全部、奪って……!」

……貴女だって、そうじゃない。

「私が、何を奪ったって言うのよ」