恋の花を咲かせた3月の涙。

次の日、いつもより少しだけ早い時間に家を出た。


駅の込み具合はあまり変わらない。


「おはよう。待った?」


「うんん、今来たよ」


「じゃあ、行こっか!」


友達と一緒に投稿するのは懐かしい。数か月前まで友達と登校していたから独りでの登校は慣れるまで時間がかかりそうだと思っていたのに。

寂しいと思わなくて済むと考えると、やっぱり友達は必要かな。


「そうだ、私言い忘れてたんだけど」


「何?」


制服のポケットからチョコレートのお菓子を出しながらさっちゃんは言った。


「私はずっとひぃちゃんの味方だよ。たとえひぃちゃんが私と同じじゃなくなっても」

私のポケットに取りだしたチョコレートを入れたさっちゃん。


「おはよう、お二人さん!」


電車を降りた私たちはちぃちゃんに声をかけられたので、さっちゃんの言葉の意味を聞く事が出来なかった。


教室には和花ちゃんが先に登校していた。


「おはよう。昨日はごめんね」


「大丈夫だよ。さっちゃんと仲良くなれたし」


「だから一緒に登校してきたんだね」


教科書を机に入れ終える頃には隣の席の峰原さんが登校してきて、机にうつ伏せになって寝ていた。


先生が来てもその体勢が変わる事は無かった。


昨日はしっかりテスト受けていたのに、どうかしたのかな?


1時間目の授業の先生が声をかけた時は起き上がったけれど、先生が極卓に戻るとすぐに元のうつ伏せの体勢に戻っていた。


悪口を言うときは人扱いをするのにそれ以外は空気扱い。


「大丈夫?」


休み時間に声をかけたけれど無視されてしまった。


私の聞き方が悪かったのかな。


大丈夫と聞かれたら大丈夫と答えるしかない。もし峰原さんが大丈夫じゃない状況にあったらどうしよう。


けれど私ができることは無いし……


こんなことをずっと考えていたため、もちろん授業の内容なんて頭に入っていない。


昼休みになると峰原さんはどこかへ行ってしまった。


「ひよりちゃん、一緒にご飯たべよ?」


「ごめん、先生に呼ばれてて。先食べてて」


「分かった!」


峰原さんが席を立った時、目が合ってしまった。とても辛そうな表情をしていた。


そんな表情をされたらほっとけるわけない。