テツの頬を手で包んでつま先立ちになって唇に触れるだけの短いキスをする。



「い、いってきましゅ!」



腕の力が少し緩んだ隙に抜け出して家を出た。



恥ずかしすぎていってきますを噛んでしまった。



でもそれよりも恥ずかしすぎて玄関を出てすぐにその場にしゃがみこんだ。



テツの行動には慣れたつもりだったけど、こういう不意打ちは何年経っても慣れない気がする。



促されて自分から出来るようになったのは少しの成長かもしれないけど、それでもあれは反則だよ…っ



しかも"3日前くらい"って強調してたってことは、入学式のことだって絶対分かってたはず。



「…完っ全にやられたわ……」



テツにはまだまだドキドキさせられっぱなしだ。



気持ちを切り替えようと頬を軽く叩いて大学へ向かった。