……早くお風呂に入って、寝よ。


そう思い、家の中に入った。





*   *   *





次の日の放課後。


部活が始まるまで、至って変わらず、いつも通りだった。



「じゃあ、始めるぞ!」



今日も部長である、和人先輩の一言で、練習が始まる。


そこまでは良かった。



「じゃあ、今日も一緒に練習しよっか」


「はい!」



和人先輩に言われて、一緒に練習を始める。


私が何度か打つ練習をしていると、和人先輩が止めた。



「バックハンドが少し違うね」



そう言いながら、私に近寄り、ラケットを持つ手に先輩の手を重ねた。


あ……男の人の手だ……。


身長だけでなく、体付きも男の人だと実感すると、思わず先輩を異性として見てしまい、顔が熱くなった。



「どうかした?」



そんな異変に気付いたのか、少し心配した声で聞かれた。



「いえ!なんでもないです……」


「そう?」



そう答えると、先輩は何事もなかったかのように説明を続けた。


……私、先輩に恋してるのかも……。


恥ずかしくて、少しこちょばゆい気持ちにさらされている私を、愛華が遠くでニヤニヤしながら見ていることに気付くことはなかった。