そんな思いが顔に出ていたのか、先輩は私から目線を外し、相手のコートを見つめて言った。



「……なかなか、思うようなプレーができなくて、少し苛立ってたんだ。でも、如月さんが声をかけてくれたお陰で、そんな気持ちが吹っ飛んでった。ありがとう」



言い終わると、先輩はまた私を見て微笑んだ。


ドキッ……。


今度の笑顔は、いつものようにすごく綺麗だった。


……こんなの好きにならないはずがないよ……。


再び、コートの先を見つめた先輩を、恋に焦がれるように眺めていた。





*   *   *





いよいよ、試合当日がやってきた。


私たち1年は応援席で試合を観戦する。


もう大会は始まっていて、次々と他校の結果が出てきている。



「なんか、私たちも緊張するね」



愛華がそわそわと、落ち着かなさそうに言う。



「そうだね」



私も不意に、和人先輩のことが頭に浮かぶ。