「ち、違うっ!そうじゃなくて」
俺の胸に額をつけて
俺のシャツをぎゅっと握る理乃に気付く。
イラつく俺。
そんな俺に離れまいとしがみつく理乃がいじらしく思えて気持ちが大人しくなる。
「…じゃあなんだよ」
言いながら理乃を抱きしめた。
「…優弥が…本気だってキスしてきて…」
理乃の半泣きしてるような声が聞こえた。
「そのあとからかわれてキスされて…
私が怒ったら、優弥が何回もしてるって言って…」
正直に言いながら俺の腕の中で震える理乃。
駄目だな俺。
マジで独占欲の塊かよ。
感情的になって理乃を問い詰めたことを反省しながら理乃の頭を撫でた。
「優弥に、告白されて…キスされても…。
河野が、宮下さんと一緒に…見たくなかった」
「…」
それは…
優弥に告白やキスされたことよりも
俺と宮下のことが気になった、ってこと?
あの日、俺と宮下のことを気にしてた?
それで優弥がキレて告白したのか?

