「痛っ!なんで叩くのっ?顔見てないじゃんっ!」

「うるさい!お前が悪いんだろっ!」

「なんでよ!背が伸びたからって人の事見下だして!」

「は?…見下だす!?」


そこまで言うと河野は盛大なため息を吐く。


「……お前といると本っ当、調子狂うわ」

「……そうだねー。河野って他の女子の前だと変に格好つけてるもんねー」

「格好つけてねーよっ!お前、さっきから自分で何言ってるかわかってんのかっ?
大体なんで男の俺と身長張り合ってんだよ」

「……河野のせいじゃん」

急にいつもの雰囲気じゃなくなったせいだ。

好きな子がいるくせに…。

気を利かせて一人で走って帰ろうとしたのに止めたのは誰よっ。


やっぱり走って帰ろう。

そう思った瞬間には足が勝手に走り出していた。