長い梅雨が明けた日


「あ、白井先輩っ!」


先に階段を上がった宮下が理乃を見つけて声をかけた。

声を聞いた理乃がこっちを見た。


瞬間、俺と目が合った。

それが嬉しくて自然と顔が緩む。

でも、理乃は表情が固かった。
視線もすぐに逸らされた。

そんな理乃の態度が俺の浮ついた気持ちをブチ壊した。


理乃が勘違いしてると神田から聞いた。
でも…
勘違いどころじゃないかもしれない。

理乃の態度にただならぬ緊張が走った。


そんな俺をよそに、宮下は予定通りの行動をしてくれていた。