長い梅雨が明けた日

　＊　＊　＊


「…」


まだ理乃が登校していない隙に、
神田を呼び出して頼み込んで話を聞いてもらった。
疑うような視線の神田は、何もしゃべらないで俺の話を聞いていた。


「多分、細かい事は本人が言うと思うから俺からは言えない…。
でも、絶対に嘘じゃないから今回だけでも話を聞いてほしい」

「…出来るなら拒否したいんだけど…」

やっと口を開いた神田が俺を拒否る。

でも今は引けない。


「飯代は俺が全部持つ。今日だけだ！
理乃と話がしたいんだ！」

「…そういうの苦手なの。
私は理乃ちゃんの気持ちを優先させたいから」

「頼む。…今、理乃と話さないとこのままずっと無視され続ける…」


自分で自分が情けない…。
神田に頼ることしか思いつかないなんて。

でも、理乃が寝込んだ日から今日まで
俺は理乃とほとんど話せていない。

昨日の朝、先輩の教室前に理乃がいたけど話しかけても無視された。

何度も話かけようとしたけど無駄だった。
理乃がすぐ俺に気付いて逃げるから近づくことも出来なかった。


なのに昨夜、宮下と一緒のところを理乃に見られた。