「何その言い方。まるで自分は気楽じゃないみたいに聞こえるんだけど?」

「…まぁな」

私の言い分を一言で済ました河野は私から視線を逸らして前を向いた。
その態度がいつもより少しよそよそしく感じた。


私との噂がそんなに嫌だったのか…

そうだよね…
彼女いないのに私が彼女にされてるんだもんな


いつも目立つ河野は常に自身が噂の種だと知ってか、些細な噂話くらいじゃいちいち反応しない。

だから私との噂も大半はからかう要素が大きいのだろう。


"付き合ってるのか?"
よく聞かれる質問も毎回バッサリと否定する。
そしてすぐ話題を切り替えるくらいにはやっぱり噂されるのが嫌だったんだなと今更気付いた。


…そりゃ嫌だよね。


河野はモテるんだから彼女なんて作ろうと思えばいつでも作れるはず。

…なんで彼女作らないんだろ?

河野が彼女作ってくれたら噂だってすぐ消えるのに。


もしかして……?