「あいつ傘持ってるかな?聞いてくる」
河野に確認して来ようとするとまた香菜が呆れ口調で言った。
「傘なかったら走って帰っても変わらないでしょ?河野と競争して帰りなよ。私は他の子と帰るから」
「んー…わかった。じゃあまた明日ね。バイバイ」
夏休みを前にまた練習試合があるから他の部員に夏風邪をひかれたら大変だ。
香菜の言う通り、河野が傘を持ってなくても走ってコンビニに行けばそこまで濡れないですむ。
噂に拍車をかけたくない私は河野と帰るのを避けていた。
いつもなら置き傘をちゃんと用意してるのに、連日の予測出来ない雨のせいで昨日置き傘をさして帰ったばかりだった。
仕方ないか…
そう思ったから私は皆んなより一足先に部室を出た。
部室を出るとすぐに河野を見つけた。
傘をさして他の部員と帰ろうとしてるところだった。

