『…お前、理乃に拒否られたって…』

「一度理乃は名前を呼んでいいと承諾してくれたけど、次の日の朝にやっぱりやめようと言われたんだよ」

俺は思わず全部吐いた。

あれが優弥のせいだなんて思わなかったからつい苛立って吐き出した。

『…そうか。悪かったな』

たかが名前の呼び方で今更何か変わるとは思ってないが…

「そういうことなら、俺は明日から理乃の前でも名前で呼ぶからな」

『わかったよ。
…でも、そんな事で理乃が泣くとはお』
「理乃が泣いた!?」

思わず優弥の話を遮る声が出た。

『…理乃は隠してたけどな。
昔から理乃が泣く時は決まって同じ隠れ方をするんだよ』

幼馴染みの優弥だけが知る理乃のクセか。

「それを今日してたのか?」

『そうだ。だから電話にした。お前何をしたんだ?』