「俺は理乃ちゃんの本命は河野だと思ってたんだけどな」
思わず無言で豊永を見る。
そう思ってたなら、何でこいつは優弥をけしかけたんだ?
「優弥が動けばお前も動くと思ったんだけどな?」
豊永が俺を睨んだ。
「でもハズレまくってるし…お前らマジで訳わかんね。
俺が挑発したときは優弥が動くと思ったのにお前が動いたろ?
だから基本的にお前が動くのかと思ったら優弥が抜けがけしてるし…」
そんなの俺だって知らん。
俺も優弥も勝手にやってるだけだ。
牽制しあってないからそうなるんだろ。
……。
もしかしてこいつは俺を排除して、俺の今の立ち位置にとって代わろうとしたのか?
優弥の幼馴染みという立場は他の誰にも代われない。
「残念だったな」
豊永を睨み返しながら吐いた一言だが、そのおかげで自信がついた。
こいつは優弥と理乃がくっついたと思ってわざわざこんな話を俺としたんだろうな。
「俺はまだ諦めてねえから」
諦めるどころか、気合いが入った。
優弥でなく、俺が理乃に意識されてる
そんな可能性大だと。

