長い梅雨が明けた日


その噂のおかげで理乃に近付く輩は減った。

それは高校に入っても同じだった。


はずだった。

豊永が俺等に声をかけるまでは。


「第一、お前が優弥をけしかけたんだろ」

「そうだけど、まさかこんな急展開するとは思って無かったからな」

「…別に急展開してねえよ。
お前が優弥と理乃の仲を知らないだけだ」

学校でしか見れない優弥と理乃は、知らない奴が見たら顔を見ると口喧嘩する幼馴染みにしか見えないだろう。

でも、本当の優弥は理乃第一主義者だ。

理乃の部屋まで簡単に潜り込める。
それこそ、簡単に寝込みを襲える立場。


だから優弥を刺激してほしくなかった。