リリアには婚約の話がもう出始めている。リリアは結婚すればこの国から出て行かなければならない。そうなれば仲良く話をするのも一年に一度あるかないかになるだろう。

「家族なのに一緒に遊べないって悲しい……」

リリアはそう言い、目元に指を当てる。リオンは一瞬俯いた後、「お嬢様」と穏やかな声をかけた。今はリリアの双子の兄弟のリオンではなく、一人の執事だ。

「私は、いつでもお嬢様の味方です。例え遠く離れていても、どんなに会えなくても、お嬢様をいつでも想っております」

「それってこの前見た演劇の台詞だ!全然似合ってない〜!!」

リリアがクスクスと笑い出し、リオンはホッとする。その時、ブリオッシュとロイヤルミルクティーが運ばれてきた。

「わあ!おいしそう!」

リリアは無邪気に笑う。明るいリリアには笑顔が一番似合う。リオンはリリアの手を取り、言った。

「僕たちは、特別な何かでつながれてるんだ。だからきっと大丈夫。何度生まれ変わってもリリアと一緒になれるって思う。だから安心して?」

「……うん!」

一日だけの執事はお嬢様の心を救い、一緒にティータイムを楽しみました。