「リオ〜ン!!」

剣を振る手を止めたリオンに、背後から何者かが勢いよく抱き付く。突然のことにリオンはバランスを崩し、その場に倒れてしまった。

「リリア……」

リオンに抱き付いたまま、オレンジのリボンやレースの付いた黄色のドレスを着たリオンによく似た女の子が無邪気に笑っている。この国の第一王女であるリリアだ。

「礼儀作法の授業、退屈だから抜け出して来ちゃった!ねえ、一緒に遊ぼうよ〜!」

「また授業サボったの!?」

悪びれる様子のないリリアにリオンはため息をついてしまう。リリアは王女のため国を継ぐことはないが、他国の王族に嫁いで両国の信頼を強めるという大きな役目がある。そのため、厳しい礼儀作法の授業があるのだが、リリアはすぐにサボってリオンのところに来るのだ。

「いいじゃない、別に。それよりやりたいことがあるんだ〜!!」

リリアはそう言い、リオンの手を引いて歩き出す。リリアの遊びに少しでも付き合わない限り、リオンは解放されない。仕方なくリオンはリリアについて行った。