「那月~、なんだよ今の~」



俺を追いかけて教室に入ってきた柊平が、俺の肩に勝手に腕を回して言った。



「どけ。重い」


「うお、機嫌わるー…」



わざとらしく身震いをして腕を引っ込める柊平。




「なんだよ、水萌ちゃんとなんかあったわけ?水萌ちゃんはなんも心当たりなさそうだったけどー」



「………べつに」




なんもねーよ。



全然なんもねーよ。



昨日、クソ生意気な1年が突然現れたと思ったら、アイツのこと好きだとか言い始めて。


あげくの果てにはアイツを勝手に攫って。



アイツも、あの1年に腕を引っ張られるまま、




一度も俺のこと振り向かなかったからって…





全然、まったく、気にしてねーから!