「と、いうわけで朝比奈くん。これが例のブツです」



「いや突然言われても意味わかんねーし。例のってなんだよ」



「黙って受け取れや…自分の幸せのために!!」



「お前ほんと意味わかんねーな」




朝一番の教室で、私は朝比奈くんを廊下に呼び出し、昨日福引で当てた映画のチケットのペア無料券を差し出した。



「映画か…ふーん。ゴリッゴリの恋愛映画だな」


「どーも全米が涙するやつらしいです」


「で、これを一緒に見に行けと」


「うん!莉真ちゃんにはまだ言ってないから、朝比奈くんからちゃんと誘ってね!」


「……は?」




朝比奈くんが怪訝そうに眉をひそめた。




「何でそこで莉真ちゃんが出てくんだよ」


「そりゃー朝比奈くんと莉真ちゃんがこれ、一緒に見に行くからに決まってんじゃん?」


「…ちょー待て、マジで理解できねーお前の思考回路。どうしてそうなってんの?」


「だって朝比奈くん、莉真ちゃんのことが好きなんでしょ!?」