翌朝、僕が目を覚ますとそこは自分の住むマンションの寝室などではなかった。徐々に昨夜のことを思い出していき、顔がまた熱くなっていく。

バーを出た後、僕と猫間さんはバーの近くにあるホテルへと入った。そして互いに服を脱がせ合って、一夜を過ごしたんだ。

多くの男性を虜にする猫間さんと一夜を共にできるなんて、僕はツイてる男なんだろう。猫間さんの体温や声を思い出して、心臓が高鳴っていく。

「猫間さん……」

僕は隣で眠っている猫間さんの方を向く。恋人、という関係ではないけど夜を共にしたんだ。抱き締めるくらいはいいだろう。

僕が横を向いた刹那、目の前にあった光景に僕は昨夜の甘い空気を忘れてしまった。猫間さんの耳にピョコピョコと動く白い猫耳がある。昨夜はこんなもの付いていなかったはずだ。

「えっ?コスプレ?」

僕は申し訳ないと思いながら、猫間さんのお尻の方に手を回す。するとふわふわした尻尾に触れた。その尻尾は体にしっかりと付いている。コスプレなんかじゃない。