私の一方的な計画を話したが、彼はうっすら微笑んでくれるだけで「うん」とは言わない。その代わり、ポンと頭をなでられた。
「まだなにも、手続きはしてないんだろ?」
確認をされ、聞かれるままにうなずく。
「そのまま手続きしないで。大学、辞めなくていいから」
「……え?」
「金なら俺がなんとかする」
……なにを言っているの?
意味がわからなくて彼の腕をどけ、じっと顔を見つめた。澄ましているが、本気の顔だ。しかし一瞬彼が闇に包まれたように見え、私は胸騒ぎがして怖くなった。
「え、そんな、無理ですよ。なに言ってるんですか」
「大丈夫。あてがある」
なに、それ。どこ?
「百二十五万。明日用意してくるから待ってて」
いや、ちょっと待ってよ。普通のアルバイトではそれは無理だ。一日で百二十五万だなんて、絶対におかしい。いったいなにをするつもり? そもそも私は水樹さんにお金を用意してもらおうなんて考えていないのに。



