急に緊張が増してくる。それなのに、糸が切れたように安心もしている。この気持ちはなんだろう。今日は、私の人生で一番悲しい日。どうしてこの日に会いに来てくれたの、水樹さん。ひとりぼっちでずっと震えていた私のところに。
「光莉」
私を抱き寄せた彼が、頭上でつぶやく。その優しい声がやっと私を慰めてくれた気がして、彼の胸の中で涙を流した。
「水樹さんっ……水樹さんっ……」
夢中で抱きつく私の頭を胸の中に抱え込み、彼は頬を寄せている。私はもう、水樹さんがいないとダメだ。これからどんな人が現れても、今夜一緒にいてくれたあなたには、もう誰も敵わない。
「……光莉、こっち向いて」
甘いささやきと指先に導かれて顔を上げると、見つめ合う水樹さんの瞳が目の前にあった。ああ、水樹さんとならできる。誰より私を慰めてくれるキス。唇が触れ合う。粘膜までも巻き込んだ熱くて優しいキスを、私たちはいつまでもしていたーー。



