上擦った「えっ」という声が出て、無意識に水樹さんのTシャツの袖をキュッと掴んでいた。彼も神妙な顔つきになり、私の手を握り、スマホにさらに耳を寄せる。
「倒れたって……ど、どういうこと?」
『わからない。休み明け、職場に来ないから迎えに行った同僚が倒れてるところ見つけて通報したらしい。病院から連絡きて、すぐ来てくれって』
「そんなっ……」
頭が真っ白になり、呼吸も忘れていた。体の震えが止まらない。倒れたのと、見つかったときにはすでに倒れていたのでは、私の想像はまるで違う。後者のお母さんは冷たくなっている気がして、胸の奥まで冷えていく。
なにも考えられず取り乱した私に代わり、電話の向こうの兄は冷静に話を進める。
『今なら終電で実家に帰れるから、今から言う電車に乗ってくれ。一緒に行動した方がいいと思うんだ。落ち合って向かおう』
「う、う、う、うん」
『……大丈夫? 駅まで行けるか? 俺、アパートまで迎えに行く?』



