おそらく、今すごく赤くなっていると思う。顔が熱いもの。手でうちわをつくってパタパタとするジェスチャーとともに、へらっと笑顔を作って誤魔化した。彼は足を組み、ケーキをもうひと口食べている。

なにか言ってよ! と思ったが、たしか会話のボールはこちらにある。なにも言えずにうつむいたのは私の方だった。黙っている彼も、頭をかいたり、足を揺らしたり、そわそわと落ち着かない様子だ。

「あと、言っていいのかわかんねぇけど、光莉のそばにいるとおかしくなる」

え?と振り向く。水樹さんはうっすらと笑みを浮かべているものの、微かな緊張やためらいを感じる。おかしいって、なに?

「セックスしたくなる」

膝にお行儀よく手を置いたまま、彼を見た。驚きすぎて、口が閉じない。

「……へ」

「触ってるときとか、キスしてるとき。このままやっちまいたいなって思う。けっこう毎回、我慢できないレベルで」