かすみ草なんて嫌いだ

ピッピッピッピッと一定の音。腕にある違和感と猛烈な喉の乾き。そして腹部に走る激痛。とてつもない気だるさを感じつつ目を開けた。

なに、ここ。

薄暗い中で赤と緑の光が点滅していて、自分の体には沢山の吸盤と管がついていた。

だめだ、頭がぼーっとする。


「気分はどうですかー。」

ピカッと明るくなって、一瞬瞼をあげられる。

どうもなにも、喋る気力も体力もない気がして、ただ医者であろう相手を見つめた。

そして1から10まで数字の書いてあるボードを持ってきた看護師さん。

「1から10で痛みを指してくださいね。」

ふるふるとなにか繋がれている腕を持っていき、7あたりを指差す。

もう少し寝ていてもいいですよ。

すごく、優しいような、捨てられた子猫に使うトーンで言われたのをきっかけに、私はまた意識を手放した。